又吉直樹『火花』感想

お笑い芸人が芥川賞を受賞としたということで、当時非常に話題になった作品。タレントがこの手の賞を獲ると、どちらかというと批判の対象になりやすいイメージがあるが、この方に関しては熱心な読書家である一面が知られていたからか、受賞に異論がない人が割と多かった気がする。

 

主人公がコンビを組むお笑い芸人ということで、何となくコミカルな内容をイメージしていたが、先輩のお笑い芸人が借金を重ねた末に行方をくらます、主人公も主人公で、コンビを組んでた相方に、同棲していた彼女が妊娠したので結婚し、芸人を引退すると告げられ、他の相方とコンビを組むことが考えられないとして主人公も芸人を引退するという、笑いには程遠いストーリーであった。作者である又吉直樹も「ピース」というお笑いコンビで活動していることを考えると、まさか何かベースになった実話があったりするんだろうかと気になった。相方の借金を理由に「これ以上は一緒にやっていけない」として解散となったお笑いコンビがいた気がするのだが…

 

その先輩のお笑い芸人は結局、自己破産をした状態で後に再会するのだが「普通、男性はしないのでは…?」と思うことをこの先輩芸人は仕出かしていた。この部分を見たとき、私はドン引きだった。主人公の指摘がもっとも過ぎる。

 

最終的には「生きている限りはバッドエンドはない」という形でしめくくっているが、「バッドエンドがないなら、グッドエンドもないんじゃ…」と思い、そうなると「死ぬまでは終わりなどないし、死こそが終わりであるのではないか」と考えた。

 

そして、個人的にこの『火花』、お笑い芸人を目指す人たちに対して「お笑い芸人は生活に苦労とするとはいいますが、苦労するどころの話ではありません。それでもお笑い芸人を目指しますか?」と警告するための作品でもあるのではないか。そんなことも思った。