星野源『そして生活はつづく』感想

星野源は、バンド「SAKEROCK」の元メンバーで、2011年にシングル『くだらないの中に』でソロデビューした歌手である。代表曲に『SUN』『恋』『Family Song』など。中でも『恋』は、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌に起用され、いわゆる「恋ダンス」の話題性も相まって、CD不況と言われる今日では珍しいCD・ダウンロードの双方で大ヒットを記録した。しかし、この『恋』はオリコン週間シングルチャートでは初動売上10万枚を達成しながら、実は最高順位が2位どまりで(当時の1位はHi-STANDARDの『ANOTHER STARTING LINE』。こちらは同バンドにとって約16年ぶりのシングルであり、当時、発売情報自体が発売日まで伏せられていたことでも話題となった)、星野源にとって初のオリコン週間シングルチャート1位獲得作は『Family Song』である。

 

そういうわけで、個人的には星野源の本業は歌手という認識なのだが、俳優やエッセイストとしても活動しており、マルチタレントと呼ぶに相応しい活躍をしていると思う。

 

この著書『そして生活はつづく』は、発売日が2013年1月ということで、時期的にはクモ膜下出血で一時活動休止をせざるを得なくなったころとみられる。

 

この著書で個人的にグサッと来たワードを紹介する形で感想としたい。それが「無意識に人を傷つけてしまうことがある」である。

 

これは当たり前と思いがちな気がしつつも心に来た。しかも、これの厄介なところは「一見すると傷つける言葉ではない、むしろ励ましているように聞こえる言葉ですら、言われた相手には侮辱と解釈されてしまうことがある」という点だと思う。例えを挙げるなら、自殺を考えるほど生きていくことがつらいと感じている人に言い放つ「つらいのはあなただけじゃない」という言葉だろうか。相手からすれば「僕のつらさはどうでもいいって言うのか。いっそそのまま死んでしまえとでも言いたいのか」とも言い返したくなるのも無理はない気がする。

 

これに近い気がするケースで「自分はそのつもりはなくても、相手がそう捉えてしまったら意味がない」と言われたことがあるが、僕はこの言葉には違和感がある。精神状態や直近にあった出来事などで、解釈に無理がある、相手が曲解しているとしか考えられない場合もよくあると思うからだ。だから、「こう言ったら傷つくだろうな」というのは意外と予測ができないことが多いと思う。だって、励ましたはずが余計に傷つかれることすらザラにあるのだから…

 

そして、この本を読んだ後、「あれ?これ書いたのってあの星野源だよな?」という錯覚に陥った。それぐらい耳を疑うエピソードがたくさんあるので、「あなたが持っている星野源のイメージとは全く違う内容である可能性が高い」ということを踏まえたうえで読んだほうがいいと思われる。